エスケープを重ねて辿り着いた場所
往復書簡連載
「エスケープを重ねて辿り着いた場所」
ひさこ、先日はお手伝いに来てくれてありがとう!
季節が変わって、こちらはすっかり景色が変わったよ。北海道の秋は短くて、紅葉したな〜と思ったらすぐに雪も降り始めて。この季節になるとどこか切なさも感じもしつつ、自然界の循環をダイレクトに感じています。自然の中に住んでいると、これまでよりも四季の移り変わりや、太陽や月の動きにも敏感になって。「あ、そろそろ満月が近いな」なんて見ていると、昔の人はこうやって時を体で感じていたんだろうな、って。
そんな風に言っている私も、2年ほど前は都会のど真ん中に住んでいたわけで。「戸惑いはなかった?」って、確かに良く聞かれるんだけど、、、気づけばここに流れていたって感じで。(笑)もちろん、長い人生の中でタイミングが良かったというのが一番で、働き方も生きた方も、えいやっ!と大きく変えてみたかったんだと思う。
以前は仕事柄、beautyやwellnessに関するプロダクト等を発信する立場だったけど、内心、「実際の私はどうなんだろ?」という思いも正直あって。自分が理想とする生き方ができているのかな?心身のバランスはとれているのかな?と。それこそ、よく大自然の中にエスケープする旅に出たり、山の中へ瞑想の修行に行ったりして、自分のバランスを保っていたな。
そして今、当時エスケープしていたような場所に住んでいるから、人生おもしろい。自然に囲まれた環境にいると、自分の素と向き合う感覚になれるよね。
あ、気がついたかもしれないけれど、ハーブ園の「Su」はこの感覚からきているの。もともと、仕事柄馴染みがあったハーブ。自分の体調管理のために色々と生活に取り入れていたけれど、まさに心身に効果を発揮するハーブは、自分の素と向き合う手助けになってくれる。
これからも、等身大で自分が生活に取り入れられて、それを表現する事ができるなって思って始めました。これまでは、植物を育てる事なんてほとんどしてこなかったから、実際にやってみると発見だらけ。今まで何気なく取り入れていたものは、こんな葉っぱなんだ、こんな花が咲くんだって。
そんな感じで、理想の生活が送れているわ!と言い放ちたいところだけど…..実際の畑仕事は体力と気力勝負。自分のポンコツさにぶち当たったり(苦笑)、日々時間が足りなくてやりたい事が全然できなかったり。けど、新境地で前進はしているかな!
ひさこは、日々色んな場所に行っているから、エスケープしたいー!なんて時はないのかな?私みたいに、えいやっ!と人生を変えてみたタイミングってあった?
そろそろこちらは雪深くなってきそうだし、真っ白な世界にもぜひ遊びに来てね!
text by Yoko Tagami
田上陽子 「su herb」ディレクター
PR会社でオーガニックコスメなどを中心としたPRを経験後、スキンケアブランド「F organics」、トータルビューティーブランド「Celvoke」を立ち上げ、ディレクターを勤める。その後、北海道への移住を機に、パートナーの営むワイナリーでワイン造りに携わりながら、Suハーブ園をスタートし、自然の恵みを活かしたライフスタイルを追求中。ジュエリーブランド「ENEY」のブランドディレクターとしての顔も持つ。
行方ひさこ ブランディングディレクター
アパレル会社の経営、ファッションやライフスタイルブランドのディレクターとして活動。近年は食と工芸、地域での活動などエシカルとローカルをテーマに、その土地の風土や文化に色濃く影響を受けた「モノやコト」の背景やストーリーを読み解き、昔からの循環を大切に繋げていきたいという想いから、自分の語感で編集すべく日本各地の現場を訪れることをライフワークとしている。2021年より、地域と文化と観光が共生することを目的とした文化庁文化観光推進事業支援にコーチとして携わる。