Yuki’s Kitchen “Room Tour“
毎日を心地良さで満たすー料理家 内山ゆき
「好き!なものたちで溢れた、お家とお店の真ん中の場所 - 誰もが虜になるiroのあれこれとルームツアー」
サイトリニューアルと共に内山ゆきさんの新連載「内山ゆきの、毎日を心地良さで満たす」がスタートします。自然体でいながらも、自分の気持ちを前向きに保ち、周りにも常にハッピーを振り撒いてくれるゆきさん。今回は、念願のお店を始めるに至ったきっかけや店名である“iro”の意味をはじめ、ゆきさんがものを選ぶ時の基準など、色々とお伺いしていきます。
内山ゆき
東京都生まれ。食と空間をプロデュースする「旬香舎」主宰。旅好きの祖母や懐石サロンを営んでいた母の元、日本はじめ様々な国へ出向き感性を磨く。 iroの運営、料理教室やケータリングの他、個人邸や宿泊施設などの空間やインテリアのスタイリングや、器と生活まわりのプロダクトデザインも手掛ける。
全ては一目惚れから
ゆきさんがものを選ぶ時の基準は、「そのものを見た時に“好き!”という気持ちが全身を巡ること」一目惚れだと言います。それは、言葉では言い表せないほどに心が揺さぶられるということ。
「手持ちのものとの相性などをあまり考えると、そこに捉われてしまい、自分のチョイスが狭くなるような、勿体無い気がします!」という言葉の通り、ゆきさんの空間“iro”は、国や地域、年代も含めてなんの縛りもなく、さまざまなものが伸び伸びと混在しているように感じます。これらが全て、お店をスタートさせるために買い付けたものではなく、全てご自宅から持ってきたもののみで構成されているというから驚きです。
20年ほど前から、いつかは自分の作った空間で自信が作ったお料理を振る舞い、皆さんに喜んでもらえたらと漠然と考えていたそう。体力的な限りもある中で、50歳までには!と思っていたところ、ちょうど50の歳で良い出会いもあり、iroが現実になったといいます。
配置も決まりごとはなく、ゆきさんの居心地の良いようにそれぞれが置かれています。
「どんな環境でも状況でも、美しいと思う気持ちは尊いということ、その気持ちを常に持ち続けられる毎日を送れることからだと思います。そして、いわゆる世間一般での“高価なもの”や“特別なもの”に踊らされることも否定することもなく、何に対してもフラットな気持ちで向き合えること。」
先入観を持たない、このような自然体から、ゆきさんの審美眼は生まれてきたのでしょう。
Iroに込められた想い
「日本語の“いろはにほへと”の1つ目と2つ目の文字なので、新たにスタートするという想いを乗せて。そして日本語の“いろ”は様々な意味を持っていて、“色々”や“色っぽい”、“艶っぽい”という意味もあった李、とても素敵な言葉だと思ったからです。
そして、私はカラフルなものを同じ空間やお皿の上に一緒に乗せるのがとても好きということや、色々な国や土地、時代は背景のものを軽やかに集めて、iroに来てくださった方々が仲良くご飯ができるような集う場になりますようにという想いから名づけました。」
自分の居場所を心地良さで満たすためには
一目惚れをした好きなものに囲まれて日々を送っているゆきさんに、自分を快適するための秘訣を伺いました。
「好きなものに囲まれて幸せだと思えることです。これは、決して贅沢なものを所有していることとは違い、気持ちの贅沢だと思います。」ゆきさんは、お祖父様やお祖母様から引き継いだ、とても価値の高いものもお持ちですが、それと同じようにご自身が蚤の市で見つけてきた作者も価値もわからないアイテムも同じように大切にされています。
「どんな時でも、どんな状況でも幸せだと思える心身を保てること。現実はいつでも1つなのですが、その現実とどう向き合ってハッピーでラッキーだと思えるかで毎日の居心地は変わってくると思います。」
「今、ここ」を受け止め、そこに最大限の感謝をすること、これが、ゆきさんの好きという気持ちに裏付けされた、真っ直ぐでたくましく、そしてしなやかな自然体への第一歩なのだと思います。
Interview & text Hisako Namekata